【香】
スパイス
〜20種類以上のスパイス〜
カレーハウス「ピヨ」の風味の秘密。
前ご主人は、言葉を探しながら、静かに語ってくれました。
「“カレーとは…“なんて偉そうに語りたくないんです。ただ皆さんの口に合う美味しいカレーを作りたい。ただそれだけで…。」大上段には構えない。それでいい。でも、誰もが美味しいと言ってくれるカレーを作りたい。
食べてもらいたい。
この想いが凄すぎる。カレーハウス「ピヨ」では20種類以上のスパイスを独特の調合方法でブレンド、カレーに溶け込ませているのです。1つ1つのスパイスにはそれぞれの特徴と、役割があり、なにか1つが欠けても「ピヨ」のカレー歯車は上手に回らなくなってしまいます。大事にテンパリングして、ルーを作って、ベースソースを作って、スパイスオイルを作って。全てが手作り。それぞれのポイントで、スパイスを優しく溶け込ませていくのです。カレーハウス・ピヨのカレーは“丁寧に丁寧に”作り込まれた味なのです。
カレーハウスピヨの
カレースパイス大公開
カレーハウスピヨのカレースパイスをほんの少し教えちゃいます。
実は私、カレーを食べた時、多少スパイスの香りを判別、区別できるのですが、カレーハウスピヨのカレーは、ほとんどわかりませんでした。
「クミンはいる。カルダモンがトップにくるかな。クローブ、シナモン。ナツメグもほんの少し。そしてセロリの香りも少しする。」これくらいが限界でした…。それはそうです。レシピを聞いて無理だと悟りました。手の込んだ、そして種類豊富なスパイスを使っていたのです。前ご主人からのレシピを拝見させていただいて、手が震えました。
ワナワナ…。こんなにも使っていたとは…。
それでは驚愕のレシピを一部ですがご覧入れましょう。
20種類以上のスパイスが
溶け込んだカレー。
一部紹介!
クミン、コリアンダー、カルダモン、シナモン、クローブ、ナツメグ、ターメリック、カスメリティ、フェネグリークシード、マスタードシード、ディルシード、フェンネル、セロリシード、ローレル、カイエンペッパー、チリペッパー、ブラックペッパー、オールスパイス、
こんなにに必要なのか、素人は思ってしまうのですが…。「1つでも欠けるとピヨではなくなってしまうのです。」前ご主人は豪語します。香りが香りを邪魔することはないと言います。1つ1つの香りは存在するとのこと。なるほど!。
でも20種類以上の香りを果たして感じることはできるのか??鼻腔の奥で、たっぷりと香りを感じてください。
【旨味】
こだわり自家製ルー
〜牛脂ヘットが旨味のキモ〜
スーパーにはたくさんのカレールーが商品棚に並んでいます。いわゆる「カレールー」は、スパイスも調合され、それ1つでカレーが完成します。しかし本来の「ルー」の役目は「とろみ」と「コク」です。フランス料理の技法で小麦粉をバターで炒める。これを「ルー」と呼んでいました。本来フランス語で「roux」と綴り、「赤茶色」の意味。小麦粉が焦げた色のことだったんですね。日本のカレーではとろみには欠かせないものです。
カレーハウス「ピヨ」では、バターの代わりに「牛脂ヘット」を使って、さらに濃厚さをプラスしています。「牛脂ヘット」はいわゆる「牛肉の脂身」。国産牛の牛脂を使っており、香りがすごい。「脂」は100%、旨味と感じます。だから前ご主人はこう言います。「高くても牛脂ヘットを使いたくなってしまいます。旨みが全然違いますから。笑」この牛脂ヘットをたっぷり使って自家製ルーを丁寧に丁寧に作り上げていくのです。
小麦粉を軽く炒める。こんな大きな寸胴でたっぷり作ります。小麦粉を程よく炒めたところで、パウダーのスパイスを投入。さらに混ぜます。これだけの量を作るととろみ粘りがハンパありません。手でかき回すのにはさすがに限界があり、機械の力に頼ります。
この風景は一度皆さんにも見て頂きたい!本物のカレーを作る、人気カレー屋の醍醐味です笑。ここだけの話、大手のほとんどのカレーチェーン店はオリジナルで作った業務用のレトルトパックを温めて使っているだけですから(内緒ですよ)。
野菜の旨み
〜黄金のソテー・ド・オニオン〜
玉ねぎをたくさん使って、「ソテー・ド・オニオン」を作っていきます。焦がすか焦がさないか、絶妙な火加減で、じっくりゆっくり玉ねぎを油で炒めるのです。水分が程よく飛んだ時、黄金色に変化します。これが「黄金のソテー・ド・オニオン」。カレーハウス「ピヨ」カレーの旨味三柱の1つです。フランス料理では「コク」を出す、つまり「出汁」のように小さな玉ねぎのような野菜、エシャロットを炒めたものを使います。玉ねぎももちろん「コク」。このソテードオニオン、手間も時間も、お金もかかるのですが、ピヨではたっぷりと使います。
そこに、にんじん、セロリ、をフードプロセッサーでペーストにしたものを加えます。さらにマンゴーチャツネもプラス。一晩寝かせたら、芳醇な甘さと歓喜な美味さが沸き立ち、縁の下の力持ち、旨味を底上げしてくれるソテー・ド・オニオン&チャツネが出来上がります。
“ピヨオリジナル”
ペーストソース
「これはなんという名称なのですか??」目の前の寸胴に「未確認物体」が、コトコトと煮られています。「これはねー。何だろうね??」前ご主人も名前をつけたことがない、だけど、ピヨのカレーの味の「核心」となっているものがあるのです。
中身は牛脂、にんにく、しょうが、玉ねぎ、にんじん、ピーマン、フライドガーリック、ローストジンジャーなど。にんにくも生とフライドガーリック。しょうがも生とローストジンジャー。と生と、火が通ったもの。「両方入れる??」「違うの??」「全然違います!!」
これらを12時間かけてゆっくり、超弱火で煮ていきます。そして、2晩冷蔵庫で寝かせ、そこからミキサーでペースト状にして、さらにもう1晩冷蔵庫で寝かせるのです。
「寝かす??」「違うの??」「全然違います!!!」うーん。こだわりがすごすぎる。
さて、このオリジナルペーストの名前を考えてみました。
・・・名称案・・・
・手間ひまかけ過ぎペースト→却下されました苦笑い。
・「ピヨオリジナルペースト」→名前的にはつまらないですが、候補として残ってます笑。
決定しましたらまた皆さんに報告申し上げます笑。
スープも取ってるの??
本当に?
〜チキンブイヨンを
取っているカレー屋さん〜
果たしてチキンブイヨンをお店で取っている「カレー屋さん」がこの世にどれくらい存在しているのでしょうか。味の素、にんべん、美味しい「ブイヨンの素」を出しているメーカーはたくさんあります。インドカレー屋のお店を経営している社長さんに聞いたことあります。「出汁とかこだわります?」「市販のコンソメとブイヨン使ってますよ。十分美味しいし。」
これが世の中のカレー屋さんの現状です。普通はスパイスにはこだわっていても、さすがにスープにまではこだわりません。
「カレーハウスピヨ」では、お店で鶏がらでスープをとっています。
合理的。効率的。ではない道を行く。でもこれは無駄ではない欠かせない時間と手間のかけかたです。
これがカレーハウスピヨなのですね。「すごいなあ」「ここまでやるんだ、すごいなあ。」ちょっと笑顔になりながら。鶏がらを濾していきます。
赤ワイン、デミグラスソースを最後に入れます。欧州カレーの所以です。
これは大変だ。でもやりきろう。美味しいピヨのカレーを引き継ごう。後世に残していこう。
【秘伝】
秘伝のカスタマイズ
辛味オイル
スライスにんにく、チリペッパー、カイエンペッパーを160°の油でテンパリング。ゆっくり香りと辛みを移していきます。そしてなんと(!)3週間寝かすのです。これにもきちんと意味があるそうです。“寝かす”イコール熟成です。風味が増し、マイルドな辛さになるのです。いわゆる“辛旨”です。テーブルに置いてあります。結構辛いですけど、これをかけるとかけないとじゃ味が全然変わります。ぜひかけて召し上がってください。ピヨのカレーを楽しむには欠かせません!
辛味ペースト
こちらもテーブルに置いてあります。フライドガーリック、ローストジンジャー、チリペッパー、カイエンペッパーを混ぜ合わせ、ミキサーに。こちらは2週間寝かすそうです。手間ひまかけて、しかも無料!!。
極上のカスタマイズ。こんなに手の込んだサブ調味料が無料でかけ放題。お店としては内緒にしておきたいところですが、これをかけずにピヨのカレーは語れません。お店が困るくらいに使い倒しちゃってください笑。